2012年12月6日木曜日

選挙の壁、その名は人口構成

やはり、選挙で世の中が変えられるとは、今の私には信じきれない。


以前、2008年の人口統計をもとに、いかに若い世代が多数決で勝つのが難しいかを論じたことがある。

2008年の日本の人口構成では、20歳以上50歳以下の人々が一致してある選択肢を選んでも、51歳以上が一致して別の選択肢を選べば後者が勝つ。

現在はどうなっているのかと思って調べてみたところ、2011年10月1日の統計では状況はもう少し悪化していて、日本人のうち20歳以上51歳以下はおよそ51'000'000人、一方で52歳以上がおよそ53'000'000人となっている。

この環境下で、若者よ投票に行け、などと言われても。

かと言って声を上げなければもっと不利になることは、以下の資料が示している。

財団法人「明るい選挙推進協会」が調査した2008年衆議院選挙の年代別投票率を上記の統計に適用して、当時と同じ投票率が実現した場合の投票者数を試算する。

すると、20歳以上54歳以下の投票者数がおよそ36'000'000人、55歳以上がおよそ38'000'000人となり、更に状況が悪化するのだ。

極端な話、40代以下なんか敵に回しても50代後半以上さえ固められれば、当選できる可能性がそれなりにある。

逆に言うと、どんなに若年層に期待をかけられても50代以上を敵に回すと選挙で勝つのは難しい。


もうひとつ、気になる点がある。

年代別投票率をもとに試算した先程の投票者数は、20歳以上39歳以下がおよそ18'000'000人に対し、40歳以上がおよそ56'000'000人、計およそ74'000'000人となっている。

ということは、2つの選択肢がある場合で、例えば片方に42'000'000票(56.76%)、もう片方に32'000'000票(43.24%)、というように両者に18'000'000票(24.32%)以上の差が付くと、20歳以上39歳以下の人々はいてもいなくても結果は変わらないことになる。

2012/12/09 計算ミスにより訂正。 例えば片方に46'000'000票(62.16%)、もう片方に28'000'000票(37.84%)、というように両者に18'000'000票(24.32%)以上の差が付くと、20歳以上39歳以下の人々はいてもいなくても結果は変わらないことになる。 が正しい。

40代以上だけで投票した結果を30代以下の参加によって覆せる可能性は、実は相当低いのだ。

私の育った群馬県をはじめとする地方では候補者3名、1位と2位の得票率差が24%以上というのは珍しくない。

さすがに都市部ではこれほどの差が付くことは少ないようだが、それでも2008年政権交代時の東京18区では菅直人・民主党代表(当時)が次点に24%以上の差をつけているなど、無いとまでは言い切れない。

もちろん、勝利という結果が変わらないまでも得票率の変化により「圧勝」か「辛勝」かは変わるので、これをもってただちに30代以下は選挙に行かなくてもいいと言うつもりは無いが、数字としてこの現実を見てしまうとやるせない気持ちになるのも事実だ。


参加しなければ当然不戦敗、参加しても蚊帳の外での応援になりかねない戦。

それが年齢構成から見た際の選挙の構図だ。

なんと空しい。

真面目に政策や候補者を選ぶ気力が削がれる。

しかも年齢構成は政治家の質とか政策の具体性とか以前の構造問題であり、誰がどう努力しようと短期間では変えられないものである、ということが更に問題を重くしている。


とりあえず、3年前の記事の宣言は撤回して選挙に行くつもりではある。

しかしこの空しさを抱えたままでは真面目に物事を考えることはできそうにないので、候補者選びは負担のかからない方法になっていくだろう。

そのうちサイコロで決め始めるかもしれない。


更新履歴

2012/12/06 20:10

公開

2012/12/09 15:33

中段の計算を修正

2012/12/09 21:40

HTMLタグを微修正+この記事の更新履歴を追加

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