2013年7月7日日曜日

期日前投票の怪

また選挙かよ、とは自分でも思う。


期日前投票に行ったことがある方は、宣誓書を書いたことがあるはずだ。

投票日に投票所へ足を運べない理由を選択し、それが真正であることを宣誓する意味で自署を入れる。

当初はただのアンケートだと思っていたのだが、どうやらもっと重い理由があるようで、しかしその理由というのがどうも腑に落ちない。


まず、期日前投票に関連する条文を知るため政府の法令データ提供システムで公職選挙法を検索してみると、以下のようなことが書かれてある。

私はてっきり当日投票に行けるかどうかに関わりなく事前に投票を済ませることができる制度だと思っていたのだが、条文上は投票日に投票に行けるかどうかは全く考慮されていない。

投票日に仕事をしているが投票には行けるという人は、第一号に該当するので期日前投票は可能である。

一方、近所の合唱団に所属し、この合唱団が投票日に自分の投票区の域内にある施設で実施する一日猛特訓に招集された人はどうなるかというと、仕事でないから一号はダメ、区域外へ行っていないから二号もダメ、、、となり、各号のいずれにもあてはまらないため、建前上は期日前投票ができないことになる。

期間の最終日に投票しなければならないと定めた第四十四条が原則になっているため、期日前投票してもよいかどうかは投票日に投票に行けるかどうかでなく尤もな事由があるかどうかに依拠せざるを得なくなっているように見受けられる。


さて、期日前投票をしてもよい条件を満たすためには、上述の事由のいずれかに該当しなければならない。

しかし公職選挙法では、期日前投票に訪れた有権者に対してそのことを宣誓するよう要求するような条文は見当たらない。

ただ、同法四十八条の二第四項に 政令で定める という表現があるので、探してみたら公職選挙法施行令なる政令が見つかった。

各地の地方自治体のサイトや選挙管理委員会のサイトでも、宣誓書を要求する理由としてこの条文が引き合いに出されている。

ただのアンケートではなかったわけだ。

しかしどうも腑に落ちない。


まず、期日前投票の可否が事由に依拠していることによる違和感。

投票日に投票はできない、だがどの事由にも当てはまらない、という人がどうしても投票しようとするならば、仕事をしていることにするか、区域外へ出掛けるようなレジャーに参加していることにするかして、建前上の宣誓をせざるを得なくなる。

一方でその宣誓を虚偽のものとして撥ね付けるとすると、どの事由にも当てはまらないが投票日に投票所へ来られない人というだけで選挙権が制約されてしまうことになる。

ネットによる選挙運動が解禁され、情報が高速で出回るようになった現代なら、公示から最終日までじっくりと情報を集め続けなければ判断が下せないとは限らない。

公職選挙法の第四十四条第一項から 選挙の当日 を省き、第四十八条の二第一項から事由に関する文言を省いたところで、さしたる問題があるとも思えない。

もちろん、これは今まで通り最終日に投票することを妨げるものではない。

最終日に投票する人はそれも良し、それができない人は期間中のいつ行っても良し、それだけのことなのだが。


もう一つ気になるのは、宣誓において当日の投票ができない事由を選択しなければならない理由がわからないことだ。

百歩譲って期日前投票にはそれ相応の事由が必要だ、という主張を認めるとしても、自分がどの事由に当てはまるのか述べなければいけないのだろうか。

施行令はその事由を申し立てることを要求しているが、公職選挙法はいずれかの事由にあてはまるのであれば期日前投票ができるとしか述べていないのだから、どの事由であるかを詮索する必要はないはずだ。

単に 下記に述べる事由の少なくとも一つにあてはまるため、当日の投票ができない見込みです という定型文の宣誓書を用意しておいて、有権者がそれに自署するだけで充分ではないだろうか。

この方が、期日前投票所における受付時間短縮にもつながる。


事由を申告させることにした人には、是非そう設計した理由を聞いてみたい。

何か私が見落としている重大な理由があるのかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿